-
知財実務Q&A:特許出願は、なぜ、出願日から1年6月で公開されてしまうのですか?
~中小企業の社長の為の知財実務Q&A~
Q. 特許出願は、なぜ、出願日から1年6月で公開されてしまうのですか?
A 特許制度は、新しい技術を公開する意思がある者(出願人)に対して、一定の条件(審査ルール)に従って、特許権という独占的な権利を付与するという、ギブ(公開)&テイク(独占)の仕組みだからです。特許制度によって、最新の技術が特許庁のHPから速やかに公開されるため、開発者にとっては、有意義な技術資料(参考資料)となります。そして、日本国全体の技術レベルが素早く向上します。
※余談:『昔の日本の特許制度』の紹介
昔の日本の特許制度は、特許出願について、特許庁で審査を受けて特許成立したもの「だけ」が公表されていました。旧制度の場合、どのような発明について特許出願が行われているのか、特許成立前は、誰も知ることができませんでした。
例えば、10年程度の長期間の審査を経て特許権が成立した場合、突然、10年前の古い技術に関する特許権が、10年後に特許庁から初めて公表されることになります。このような突然公表される特許権によって、その侵害を避けるため、第三者が、急きょ設計変更しなければならない事態が起こりました。
このように、潜水艦にように長期間にわたって水中に隠れていて、突然、水面に登場するような特許を、いわゆる「サブマリン特許」と呼びました。これでは安定した企業活動を行うことが難しくなります。
(注意)本コラムは、理解のしやすさを最優先に作成していますので、法律的な正確性はありません。本コラムのアドバイスを参考にする際の責任で追いかねますのでご了承ください。
本コラムの著作権は、知的財産管理センターを運営する株式会社ブライナに帰属しますので、無断転載を禁止致します。
2019年05月04日