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知財実務Q&A:特許権と実用新案権の違いは何ですか?
~中小企業の社長の為の知財実務Q&A~
Q. 特許権と実用新案権の違いは何ですか?
A 主な相違点は以下の通りです。
(保護対象)
・特許:特許で保護される対象を「発明」といいます。発明には、「(製造)方法」や、特定の外観・形態を有さない「物質・組成物」「ソフトウエア」なども含みます。
・実用新案:実用新案で保護される対象を「考案」といいます。考案は「物品の形状、構造又は組み合わせに係るもの」に限定されます。従って、「(製造)方法」「物質・組成物」「ソフトウエア」等は申請できません。
(権利期間)
・特許:出願日から20年(場合によって25年)が最長の権利期間となります。
・実用新案権:出願日から10年が最長の権利期間となります。
(審査ルール)
・特許:出願手続の他に行う「出願審査請求」を経て、新規性、進歩性等の登録要件を備えているか否かの審査(=実体審査)を経てからでなければ特許権は登録されません。
・実用新案:特許庁への出願後、新規性、進歩性等の登録要件を備えているか否かの審査(=実体審査)を受けること「なし」に実用新案権が登録されます。
(権利行使)
・特許:第三者が特許権侵害を行っていると認められる場合、特許権者は警告書を送付して侵害行為の停止を求めることができます。
・実用新案:第三者が実用新案権侵害を行っていると認められる場合であっても、実用新案権者は「実用新案技術評価書」を提示しながら警告書を送付して侵害行為の停止を求める必要があります(実用新案法第29条の2)。
(権利行使時の権利者側の責任)
・特許:警告書を送付していた特許出願人または権利者は、その行為の責任を追及されることはありません。
・実用新案:警告書等の権利行使を行った後、その実用新案権が無効となった場合、実用新案権者は『相当の注意をもって権利行使したこと』を立証できない限り、損害賠償責任を負います(実用新案法第29条の3)。一般的に、『相当の注意をもって権利行使したこと』を証明するためにも、「肯定的な見解の実用新案技術評価書」を、相手に事前に提示しておくことが大切です。
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