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2025年3月総合コラム:「AIが発明者」二審も認めず(知財高裁)
AIを発明者とする特許出願の可否が争われた訴訟の控訴審判決で、知財高裁は、「特許法が規定する『発明者』は自然人に限られる」とした1審・東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却しました。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/757/093757_hanrei.pdf
判決によると、原告は、自らが作ったAIが考案した食品容器などを特許出願し、「発明者」をAIと記載しましたが、特許庁は「発明者は自然人に限られる」として出願を却下。原告側は「発明者がAIでも特許出願できる」と出訴しましたが、昨年5月の1審・東京地裁はこれを退けました。
今回、知財高裁は、原告の控訴を棄却すると共に次のように判示しました。国会での議論を促しているものと考えられます。
「特許法の制定当初から直近の法改正に至るまで、近年の人工知能技術の急激な発達、特にAIが自律的に『発明』をなし得ることを前提とした立法がなされていない」、「AI発明に特許権を付与するか否かは、発明者が自然人であることを前提とする現在の特許権と同内容の権利とすべきかを含め、AI発明が社会に及ぼすさまざまな影響についての広汎かつ慎重な議論を踏まえた、立法化のための議論が必要な問題であって、現行法の解釈論によって対応することは困難である。」、「発明者を自然人に限定した場合の弊害等も、これらの立法政策についての議論の中で検討されるべき問題である。」
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