-
2025年2月総合コラム:AI開発者も共同発明者として認める方向で検討(政府)
城内実・内閣府特命(知的財産戦略、科学技術政策)担当大臣は、人工知能(AI)を使った発明について、AI開発者も共同発明者として認める方向で検討するとの意向を表明しました。AI開発者が特許の付与を受ける発明者として認められるか否かはこれまで明確になっていませんでした。具体的な内容は、2025年6月までに策定予定の「知的財産推進計画」で示される見通しです。
https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/minister_of_state/202501/video-292491.html
現在の特許法では、「発明者は自然人に限る」として、AIそのものは発明者として認めていません。AIが特許法で規定された「発明者」に該当するかどうかが争点となった「ダバス事件」では、日本を含む多くの国で、発明者を自然人に限定するという判決が下されています。この事件を契機に現在、各国でAI発明の法的取り扱いが議論されています。
米国特許商標庁(USPTO)では、昨年2月、「AI支援発明に関する発明者ガイダンス」を策定。同ガイダンスでは AIの支援を受けた発明であったとしても、発明着想に貢献した自然人は発明者になり得ることを明確にしています。
https://www.uspto.gov/subscription-center/2024/uspto-issues-inventorship-guidance-and-examples-ai-assisted-inventions
特許庁によると、現時点では、AIが自律的に発明を創作する事例は確認されていませんが、今後、技術の進展により、この状況が変わる可能性があります。そのため、発明過程でAIを活用した場合の進歩性の判断や発明者の認定基準といった課題について、現在、特許庁の有識者会議で検討を進めています。
現行制度では、人が課題設定やアイデアを出して、AIが化学式などを組み合わせて創作した発明の場合、真の発明者の認定(発明者適格性)などは明確になっていません。特許権が付与される発明は、創作過程に人が関与したものに限られるため、有識者会議では、AIを使った発明の特許取得には人の関与がどの程度必要になるかなどについて検討する方針です。
今後、AIを用いた発明がより広範囲において出願されることが予想される中、政府は、国際的な知財制度の動向を注視しつつ、特許法の解釈の変更も含めた対応を検討しています。
(注意)本コラムは、理解のしやすさを最優先に作成していますので、法律的な正確性はありません。本コラムのアドバイスを参考にする際の責任で追いかねますのでご了承ください。
本コラムの著作権は、知的財産管理センターを運営する株式会社ブライナに帰属しますので、無断転載を禁止致します。