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知財実務Q&A:特許出願の「分割出願」の活用方法について教えてください
~中小企業の社長の為の知財実務Q&A~
Q 質問:特許出願の「分割出願」の活用方法について教えてください。
A 2つの活用パターンについて紹介します。
まず前提として、「元々の特許出願(親特許出願)」の各書類内容が以下となる場合を想定します。
<書類:特許請求の範囲>
【請求項1】タイヤ構造A
【請求項2】タイヤ構造B
【請求項3】タイヤ構造C
<書類:明細書>
(事例紹介その1)
「タイヤ構造A」と「ブレーキ構造X」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その2)
「タイヤ構造B」と「ブレーキ構造Y」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その3)
「タイヤ構造C」と「ブレーキ構造Z」を組み合わせた製品化事例
(1)分割出願活用パターンその1
元々の特許出願の後に、明細書に記載していた「ブレーキ構造X」「ブレーキ構造Y」「ブレーキ構造Z」についても、特許権が欲しくなった場合、以下の分割出願を行います。
「分割出願」の申請方法
<書類:特許請求の範囲>
【請求項1】ブレーキ構造X
【請求項2】ブレーキ構造Y
【請求項3】ブレーキ構造Z
<書類:明細書>
(事例紹介その1)
「タイヤ構造A」と「ブレーキ構造X」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その2)
「タイヤ構造B」と「ブレーキ構造Y」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その3)
「タイヤ構造C」と「ブレーキ構造Z」を組み合わせた製品化事例
パターン1では、親特許出願では予定していなかった発明について、別途、チャレンジするのが目的です。
(2)分割出願活用パターンその2
元々の特許出願(親特許出願)の特許請求の範囲が、審査手続を経て以下に修正されたとします。
<書類:(修正後)特許請求の範囲の記載>
【請求項1】タイヤ構造A
【請求項2】タイヤ構造B
(※【請求項3】タイヤ構造Cは、審査で拒絶が指摘されたのでとりあえず削除している)
以上の通り親特許出願では、タイヤ構造Aとタイヤ構造Bの特許権を取得することを優先して「タイヤ構造C」を断念しているが、この「タイヤ構造C」について、どうしても特許権が欲しい場合、リスクを分離するために以下の分割出願を行います。
<書類:特許請求の範囲の記載内容>
【請求項1】タイヤ構造C(※シンプルに再チャレンジ)
【請求項2】タイヤ構造C+ブレーキ構造Z(※ブレーキ構造Zを追加して再チャレンジ)
<書類:明細書の記載内容>
(事例紹介その1)
「タイヤ構造A」と「ブレーキ構造X」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その2)
「タイヤ構造B」と「ブレーキ構造Y」を組み合わせた製品化事例
(事例紹介その3)
「タイヤ構造C」と「ブレーキ構造Z」を組み合わせた製品化事例
パターン2では、親特許出願の審査で断念した発明について、再度、チャレンジするのが目的です。
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