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  • 知財実務Q&A:共同特許って本当に大丈夫なの?

    ~中小企業の社長の為の知財実務Q&A~

     

    Q. 共同特許って本当に大丈夫なの?

      
      

    A. 減速ギアを製造販売しているメーカーの社長が、新構造の減速ギアを開発しました。この減速ギアを、取引先であるモーターメーカーに提案したところ、取引先から共同特許(出願)の提案をもらいました。嬉しさ半分・心配半分の社長は、この提案を受け入れるべきしょうか? そのような社長のお悩みに対して、今回は基本的な知識をご提供します。
      
      
    特許権は、複数の会社(複数名)で所有できる
      
      
    特許権は、2社以上で共同保有(共有)できます。これは特許権の「権利者欄」を「2社以上の連名にする」ことを意味します。なお、特許出願を行う際の「出願人欄」を「2社以上の連名にする」と、将来の特許権が自動的に共同名義となります。
      
      
    共同特許の「効果」とは?
      
      
    特許権はそもそも、”発明を独占しても良いですよ!”という「国(日本特許庁)からの許可証(免許証)」です。例えば、2社で共同特許にした場合、「2社のそれぞれに対して」”発明を独占しても良いですよ!”という「国からの許可証が発行される」ことを意味します。
      
    つまり、共同特許とは、本来1枚しかない特許証が複製されて「各企業(権利者)に別々に発行される」と理解してください。
      
    ちなみに、特許法第78条第2項には『特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる』と定義されています。「他の共有者の同意を得ないで…」とは、干渉しあうことなく、お互いに自由に事業化できるということです。
      
      
    なお、共同特許とは「1枚の特許証を共同で保管し、お互に話し合い(干渉しあい)ながら、共同で事業展開するもの」と誤解しいている社長様が多いです。共同特許は、お互いに束縛するような効果はありません。「お互いに自由」となります。
      
      
    共同特許の相手は味方・ライバルどっち?
      
      
    繰り返しになりますが、2社で共同特許にする場合、2社のそれぞれに対して国からの許可証(特許証)が別々に発行されることになります。
      
    共同特許の相手先が、あなたに事前報告もなく、勝手に特許発明を使って商品を製造販売しても、あなたは相手先に文句をつけることはできません。相手先も正式な特許証を持っているからです。
      
    つまり、共同特許の相手先は、原則「(当社以外に)正式な許可証を持っている公認ライバル」となります。味方という訳ではありません。
      
    この制度(仕組み)を理解せずに、仲間作りの一環で、安易に共同特許にしてしまう社長が多いので、注意しましょう。
      
      
    誤解しやすい共同特許の「持ち分」とは?
      
      
    誤解しやすい別のルールとして、共同特許に「権利の持分」という概念(考え方)があります。例えば、A社とB社の共同特許権について、A社の持分70%、B社の持分30%という内部的な取り決めのことです。
      
    この「権利の持分」は、A社とB社が一緒に何らかの行動したときの成果(プラスの成果・マイナスの成果)の分配比率として用いられます。例えば、特許申請にかかった費用(マイナス成果)をA社とB社で負担する際の負担比率に利用したり、共同で事業を行った場合の利益(プラス成果)をA社とB社で分配する際の分配比率に利用したりします。
      
    しかし、「共同特許の効果」と「権利の持分」は関係ありません。仮にA社の持分が99%、B社の持分が1%だったとしても、これらは内部取り決めであるため、特許庁からみれば意味がありません。特許庁は、A社とB社のぞれぞれ対して「全く同じ許可証」が発行されます。
      
    この仕組みを悪用して「権利の持分は1%で良いので共同特許にしてくれませんか?」という相談が持ちかけられる場合があります。そのような相手先の目的は「特許証を取得すること」ですので、注意してください。
      
      

    共同特許の効果を「自由に変更しても良い」?
      
      

    上述した「共同特許の効果」は、共同権利者(共同出願人)同士で「効果に関する特別ルール(契約)を決めていない場合」に適用されます。言い換えると、共同特許の効果は、契約によって、共同権利者(共同出願人)同士で自由に変更しても良い、ということです。
      
    お互いにガチガチに束縛するような特別ルールを決めてもOKです。
      
    一般的には「共同特許出願契約」や「共同特許契約」という契約書で、特別ルールを設定します。しかし、この「契約」を結ぼうとしても、お互いの思惑がバッティングして、なかなか合意できませんので、注意してください。
      
      
    共同特許の効果を理解した上での「共同特許」は問題なし
      
      
    このような共同特許の効果を正しく理解したうえで、戦略的に共同特許を活用することが大切です。

     
     

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